「絶対悲観主義」は“心を守るための知恵”
「もっと頑張らないと」「失敗してはいけない」――そう思い続けて疲れてしまったことはありませんか?
私も同じように自分を追い込むタイプだったと今になって思う事があります。そんなときに出会った本が、楠木建さんの『絶対悲観主義』です。
この本は、私に“心を守るための知恵”を面白く教えてくれました。
本との出会い
リワークに通っていたある日、支援者の方からこんな言葉をかけられました。
「あなたはいつも無理して頑張りすぎているように見えるの。良かったらこの本を読んでみたら?」
当時の私は、心のどこかで「もっと頑張らないと」と自分を追い込むクセから抜け出せずにいました。だからこそ、その一言は強く胸に残ったのだと思います。
この出会いが、私の考え方を少しずつ変えるきっかけになったのです。
悲観を前提にするという発想
タイトルだけ聞くと「悲観主義」という言葉は、とてもネガティブに感じるかもしれません。けれど本書で語られる「絶対悲観主義」は、決して絶望のすすめではありません。
特に”仕事”は誰かのためにするもの。自分一人で全部をコントロールすることはできないのは当たり前。この本は「未来は自分一人の思い通りには絶対にならない」という現実を前提にすることで、自分がコントロールできる”気持ち(楽観/悲観)”にフォーカスしています。結果的に、過度な期待に振り回されず、むしろ心を軽くしていく知恵なのです。
悲観するからこそ、準備ができます。
悲観するからこそ、たまたま上手くいった事や小さな出来事をポジティブに受け止められます。
悲観は”弱さ”ではなく、“心を守るための戦略”として描かれているのが印象的でした。
印象に残った言葉①:「仕事は絶対に思い通りにならない」
「仕事である以上、絶対に自分の思い通りにはならない。」
この言葉を読んだとき、妙に納得しました。
どれだけ計画しても、仕事は他人と関わり、偶然や運に左右されるものです。
だからこそ、「うまくいかなくて当たり前」と前提を変える。
うまくいかないときは「まぁそうだよね」と受け止め、
たまたまうまくいったときは「ラッキー」と思える。
この“温度感”を持つことで、気分の浮き沈みが小さくなり、長く働き続けることができます。
これは、まさに精神衛生上のスキルと言えるでしょう。
印象に残った言葉②:「死ぬまで自分以外にはなれない」
「死ぬまで自分以外にはなれない。自分の経験と頭で自己認識を深めていく。」
この言葉を読んで思い出したのが、”キャリアアンカー”(エドガー・シャイン)という理論です。
キャリアアンカーとは、働くうえで譲れない価値観や動機のこと。
「こういう仕事はしたくない」「こういう働き方は大切にしたい」
——そんな感覚の積み重ねが、自分の軸になります。
楠木さんの言う“自分以外にはなれない”という言葉は、
「他人の理想」ではなく「自分の納得」で生きる大切さを教えてくれます。
これはキャリア形成の根幹にも通じる、深いメッセージだと感じました。
おわりに
『絶対悲観主義』は、を読んで感じたのは、「心を守るには考え方の選び方も大事」ということです。
私が常に思い出すのは、
「いつも100%頑張るなんてできない。働き続けることが大事。時には力を抜いて次に備えよう。」
「心配するな、きっとうまくいかないんだから。準備をしっかりしていこう。」
という言葉です。
“心を守るための知恵”として、この本は今でも私の支えになっています。
仕事が思い通りにならなくても、自分の軸を失わずに働くために。
未来を信じるより、「今の自分を受け止めてあげる。」ことから始めてみませんか。
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