「カウンセリングなんて怪しい」と思っている人にこそ読んでほしい|『カウンセリングとは何か──「変化する」ということ』(東畑開人)

本の紹介

私はうつ病からの回復の中で”カウンセリング”を経験した身として、カウンセリングという体験に価値を感じてきました。でも確かに良さを伝えるのは難しかった。。
そして、「カウンセリングは怪しい」「自分には関係ない」と感じている人も実際に多くいるのではないでしょうか。。
そんな人たちにこそ、東畑開人さんの『カウンセリングとは何か──「変化する」ということ』を読んでほしいと思います。(今回はこの一言に尽きます!)

“カウンセリングを知らない人”にも届く言葉

著者の東畑さんは、臨床心理士として多くの現場を経験していらっしゃるだけでなく、医療人類学をはじめ”カウンセリング”に対して多角的に考えている方だと思います。
この本書では、その中で使われるであろう専門用語をあえて避け、カウンセリングの世界を「作戦会議」や「冒険」といった理解しやすい言葉で表現しています。

そのおかげで、カウンセリングを知らない人でも、まるで一緒に旅をしているように理解が深まっていく構成になっています。
読むうちに「カウンセリングとは特別なものではなく、人が自分らしく変わっていく過程を支える営みなのだ」と自然に腑に落ちる感覚がありました。

カウンセリングの「全体像」を見せてくれる本

この本のすばらしさは、”カウンセリング”の全体像を描いていることです。
技法や理論に偏らず、”カウンセリング”とは?、”心”とは?というシンプルな問いに対して、ひとつひとつ整理しながら話をすすめてくれています。

そして、単なる知識の整理ではなく、人の心に起きる“変化”をどう見つめるかという物語のように書かれているのです。
東畑さんの穏やかな語り口には、カウンセリングの核心にある「聞く力」と「信じる力」が感じられました。

私が感じたこと・気づいたこと

私が特に感銘を受けたのは、著者の言語力と構成の巧みさです。
カウンセリングの経験や考えを、誰もが理解できる言葉に置き換えてくれる。
専門的でありながら温かく、知識としてだけでなく感情としても伝わってくる文章でした。

本書は、教養書として学びがありながらも、文学作品のように心が動く描写が多い点も魅力です。
知識と感情の両方を通して、”カウンセリング”に触れることができました。

まとめ|カウンセリングはふつうの生活や人生と地続きにある

カウンセリングは特別な空間であり、特別な時間かもしれません。
けれどそれは、どんな人でも、どうしても困ったときに使ってよい一つの場所なのだと思います。
悩みや不安を抱えることは、誰にでも起こりうる“生活の一部”です。

だからこそ、カウンセリングは遠いふしぎな世界の話ではなく、
私たちの日常や人生と地続きにある一つの旅行先なのだと感じました。
この本は、そのことを優しく、しかし確かな言葉で教えてくれる一冊です。

📚書籍情報

『カウンセリングとは何か──「変化する」ということ』
著者:東畑開人(講談社現代新書)

カウンセリングとは何か 変化するということ【電子書籍】[ 東畑開人 ]
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